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徳永兄弟

「フラメンコギター・デュオ 徳永兄弟ライブ with パルマ&ダンス・カンテ」インタビュー

きらりホールに情熱的なスペインの風が吹き抜ける――日本フラメンコシーンを牽引する徳永兄弟が、本格的なフラメンコギターのコンサートを開催! 2人は中学卒業後にスペイン・セビージャに留学。兄弟がそれぞれに国内外のコンクールなどで数々の受賞歴を持ち、さまざまな作品のテーマ曲やサウンドトラックにも参加するなど、輝かしい活躍を続けています。今回のインタビューでは、フラメンコギターの魅力やコンサートへの意気込みなどを語っていただきました。


インタビュー・文/宮崎新之


――お2人がフラメンコギターを始めたきっかけは?

母の教室の発表会にて


健太郎 母がフラメンコダンサー、父がフラメンコギター奏者なので、フラメンコはいつも身の回りにありましたね。ギターは好きな時に手に取って弾いていいし、教えてくれと頼めば教えてくれました。でも強制されたことは無くて、毎日何時間練習しないとダメ、みたいなことはなかったんです。それが、僕らがギターを好きになれた理由かもしれません。友達とゲームしたり、外で遊んだりしたこともあったし、実はちょっとエレキギターをやったこともあったんですよ。
康次郎 始めた頃のことは身近すぎて覚えていないんですが、ギターを弾くと手帳にシールを貼ってくれたのはよく覚えています。教本を見ながら右手だけ弾くところから少しずつ初めて、曲は「コーヒールンバ」から教えてもらいました。僕が伴奏で、兄がメロディという形は当時から変わっていないですね。父が弾く姿を見て、なんでこんなにキレイな音が出るんだと、超えられない壁のような気持ちもありました。

――中学卒業後、スペインに留学されていますが、本場のフラメンコはどのようなものでしたか。

セビージャの春祭りにて


健太郎 スペインに行ったのも、日本で特に行きたい高校も無くて、唯一できることをやれる学校がスペインにあったから、というだけなんですよね。でもスペインの学校に行ってみたら、フラメンコって譜面とか、これが正解っていう教科書もない。民族音楽として、すごく狭いファミリーの中だけのものがどんどん派生して広がっていったものなので、語り継いできている歴史が正解なのか不正解なのかわからないんです。一生ディスカッションできるし、先生同士が2人で揉め合うことも学校でよくありました。なんだかすごい世界ですよね(笑)

康次郎 ある先生から習って正解になったものを、別の先生から急にダメって言われるんですよ。教えてもらったことにも別の可能性があって、これは自分で統計を集めて、自分なりの正解を見つけるしかないんです。フラメンコの技術的な部分はやはりスペインに行ってから学びましたが、どういうものがフラメンコかという”耳”は父が子どもの頃から育ててくれていて、自分の中にそんなすごい土台があったのはありがたかったですね。

ライブ写真

――帰国されてからも、コンサート活動や楽曲リリースのほか、アニメやドラマのサウンドトラック、テーマ曲への参加など、さまざまなご活躍をされていますね。

健太郎 ありがたいですね。実は日本ってフラメンコのライブがたくさんあって、フラメンコ人口は世界2位なんですよ。自分でもイベントをたくさん作りましたが、他の方もたくさん作ってくれていて、その土壌がフラメンコの熱を常に保ってくれているんです。だからこそ、僕らはフラメンコギターだけでやっていけていると思うので、とてもありがたく思っています。

康次郎 若い頃はどれだけの知識と技術があれば仕事になるのかもまったく想像していないですし、ただスペインでがむしゃらにやっていただけ。帰国してから少しずつ、ギターでのお仕事をいただけるようになって、兄との仕事とか、そのほかのお仕事でもお客さんも楽しんでくれているのが伝わって、それが広がっていって「フラメンコギタリストですよね」と言われるようになって…。それで、僕はフラメンコギタリストなのか、と(笑)。僕は、ただギターを弾いていただけなので、ここ最近になってやっとその肩書がピンとくるようになってきました。

健太郎 僕らはもともとスペインで始まったところがあります。そりゃスペインで若い日本人の兄弟がフラメンコギターをバリバリに弾いていたらウケますよね。そもそもスペインはフラメンコへの理解も深いから、玄人っぽいことをやっても反応してくれる。でも、日本では玄人っぽい演奏も、「超絶技巧だな」と思ってもらえても、スペインのような盛り上がりにはつながらない。日本に帰ってきてからは、ポピュラーに寄せたり、カバー曲をやったりと、いろいろ考えるようになりましたね。

康次郎 スペインでは、オーディエンスの反応が「なんで曲の終わりが分かるの?」っていうくらい拍手も早いし、音楽のツボみたいなところが一緒のことも多くて、すごくありがたい反応をたくさんいただけていたんです。逆に日本ではフラメンコを知らない人がほとんどなので、0からフラメンコを伝えるには何が伝わりやすくて、何が伝えにくいのかを分析するようになりました。

――今後はどのような活動をしたいですか?

ライブ写真

康次郎 僕がずっと追いかけているのは、やはり海外のトップギタリストやフラメンコギタリストです。僕自身が彼らを好きだし、僕らもそのラインに行きたい。そして素晴らしいアーティストは日本にも、世界にもたくさんいるので、そういう方たちと一緒に音出しをできたときはとても幸せです。徳永康次郎というギタリストを「この人いいよね」と、たまに聴きたくなるような存在として、プレイリストに入れてもらえたら…。まさに自分が好きなアーティストをそうやって聴いていたので、多くの人にとって自分もそういう存在になれるように、世界に進出していきたいです。

健太郎 日本でもいろいろと活動させていただいていますが、やっぱり世界中に知っていただきたい。SNSも発展してきていて、僕らのことは日本よりも世界で知っていただいているところはあるんです。そういう場所に実際に行って、演奏していきたいですね。そして僕らは作曲が得意なので、音源もリリースしたいですし、いろいろなコラボもやってみたい。フラメンコにとって”外国人”の僕らが、これまでやられていなかったことを開拓して、スペインとか本場の人たちと、一緒にやりたいと言ってもらえたらいいですね。


――今回のコンサートはどのようなステージになるのでしょうか。最後に聴きどころとメッセージをお願いします!

康次郎 僕らのアルバム「NEO FLAME NCO」から抜粋してお届けしようと思っています。これまで、いろいろな場所でそのプログラムをお届けしてきたんですが、鎌ヶ谷では少し大きな変更を加えようかと構想しています。今回は歌が入ってきたり、パルマが入ってきたりしますし、パーカッションとか、今までにない手数があるので、フラメンコの多面性を伝えられるように、いろいろなものを混ぜ込んでいきたいと思っています。ある意味、フルメンバーでお届けできるので、他の場所で聴いていただいた方も驚いてもらえると思いますし、初めての方もフラメンコの醍醐味が伝わると思っています。僕たちは本物のフラメンコを追い求めて来ましたから、本格的なフラメンコの醍醐味をお届けする自信があります。ぜひ多くの皆さんに来ていただきたいですね。

健太郎 スペインでもトップアーティストと呼ばれるような方も歌を連れている人が多くて、今回のようなスタイルを一度やってみたかったんです。昔からスペインでやられているコンサートを研究したり、やってみたいスタイルを見てきたりしていたので、今回、憧れていたステージノン形に近づけられて、それをお届けできることに喜びと、素晴らしい時間になる予感がしています。きっと初めて聴かれる方も多いのではないかと想像しています。フラメンコで、ギターだけのコンサートという、こういう表現、ジャンルの音楽があるんだなと言うことを体感していただきたいです!

インタビュー写真

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